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水産ニュース 2026年9月24日〜30日|サンマ水揚げ前年の17%

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この記事の目次

2026年9月24日から30日までの1週間の水産ニュースを、6本にしぼってまとめました。

すべての項目に出典リンクをつけています。今週ニュースになった魚が江戸時代にどう描かれていたかも、図譜から並べてみます。

1. サンマの水揚げ、前年同期の17% 資源量も調査開始以来の最少

秋の味覚サンマが、今年も不漁です。

読売新聞によれば、漁業情報サービスセンターの集計で、9月20日までの水揚げ量は3,790トン。前年同期(2万2,866トン)の17%程度にとどまっています。

資源量も下がり続けています。同紙が伝える水産研究・教育機構の推定では、日本近海の2026年の資源量は42万9,000トン。前年から6割減り、2003年の調査開始以来の最少です。

店頭にもそれが出ています。東京都品川区の鮮魚店では9月24日、生サンマが1匹税込み411円。大きさは約130グラムで、180〜200グラムが主力だった昨年より小ぶりなうえ、価格は2割以上高いと報じられています。

名古屋の大須商店街でも、テレビ愛知の価格調査で約180グラムのサンマが1匹1,200円(前週比100円高)。長崎県産のサバも1匹1,850円と100円上がりました。店主は雨や風による悪天候の影響を挙げています。

『梅園魚品図正』の「海魚類 サンマ」。年記は「癸巳七月廿九日 真寫」
毛利梅園が写生したサンマ。癸巳は天保4年(1833年)で、旧暦の七月末はいまの暦なら九月ごろにあたる。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』・NDL PID:1287112 コマ30・パブリックドメイン)

出典: 読売新聞「秋の味覚サンマ、今年は不漁で高騰…水揚げ8割減・資源量も過去最低」(2026年9月29日) / テレビ愛知「台風や秋雨前線の影響で漁獲量減少 サンマやサバなど秋の味覚の魚の価格軒並み上昇」

2. 印旛沼の堤防決壊、漁協の養鰻場でウナギ約5万匹が流される

台風25号の記録的な大雨で、千葉県北部の印旛沼の堤防2カ所が決壊しました。

共同通信によれば、水資源機構が1968年に管理を始めてから決壊は初めて。9月22日午前4時半には、佐倉市の水位計で基準点から5.04メートルと過去最高の水位を記録しました。

水産の被害として大きく報じられたのが、成田市にある印旛沼漁業協同組合の養鰻場です。22日に浸水し、稚魚から育てたウナギ約5万匹が流されました。

毎日新聞によれば、この養鰻場は九十九里沖など千葉県内でとれた稚魚を、井戸水で育ててきました。一時は高さ2メートル近くまで水が来て、飼育池も、井戸水をくみ上げるモーターも、水温を28度に保つ装置も水没したといいます。

組合の担当者は「きれいな水で育ててきたから泥が混じったような水ではすぐに死んでしまう。全滅だ」と話したと報じられています。

読売新聞によれば、隣の直営レストランについて小川佳男組合長(89)は「提供したくても再来年以降になる」と話しています。近くの養魚場でもニシキゴイや金魚約10万匹を養殖する施設が泥水に覆われたと伝えられています。

『梅園魚品図正』のウナギの彩色図。見開きいっぱいにうねる黒緑色の長い魚と、見出し「鰻鱺魚」
毛利梅園が写生したウナギ。中央の見出しは二字の「鰻鱺魚」、振り仮名は「ウナギ」、古名「ムナキ」。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻一・毛利梅園・天保6年序・NDL PID:1287112 コマ27・著作権保護期間満了)

出典: 毎日新聞「ウナギ5万匹流される『どこかで生き延びて』 印旛沼の堤防決壊」(Yahoo!ニュース、2026年9月24日) / 読売新聞「印旛沼決壊、養殖のウナギ『全滅だろう』…農漁業に大打撃」(2026年9月26日) / 熊本日日新聞(共同通信配信)「印旛沼決壊、68年の管理後で初 水資源機構、水位が過去最高」

3. ウナギの仲間の深海魚に新種「ホソオホラアナゴ」 見分けるまで10年

北海道大学と東海大学の研究グループは9月18日、ウナギ目ホラアナゴ科の深海魚を新種として記載したと発表しました。

学名は Ilyophis fukuii、標準和名は「ホソオホラアナゴ」です。

きっかけは、太平洋・大西洋・インド洋に広く分布するとされてきた「リュウキュウホラアナゴ」でした。駿河湾でとれた標本を調べると、尾の太さが大きく違う「太尾型」と「細尾型」の2タイプがあったといいます。

ただ深海魚は採集が難しく、比べるには標本が足りません。研究グループは10年以上かけて採集と国内外の博物館標本の調査を続け、80個体を超える形態データを集めました。

その結果、2タイプは尾の太さのほか、脊椎骨の数、鱗の形、側線管の長さでもはっきり違うと判明。米国の博物館にある基準標本と照合し、細尾型が名前のない未記載種だとわかりました。

新種の記載には、駿河湾から小笠原諸島沖・琉球列島沖で採集された20標本が使われています。種小名の「fukuii」は、東海大学の福井篤元教授の深海魚研究への貢献をたたえたものです。

出典: 北海道大学プレスリリース「深海魚との10年にわたる“かくれんぼ”~ホラアナゴ科の隠蔽種の発見と新種記載~」(2026年9月18日) / マイナビニュース TECH+「深海魚の新種『ホソオホラアナゴ』10年かけ発見」(2026年9月29日)

4. サメは「捨てるところがない魚」 身は「ピーチシャーク」、皮はレコードプレーヤーに

時事通信が、サメを食べる・使うための新しい商品を紹介しています。

農林水産省の速報値によれば、2025年の日本のサメ類の水揚げ量は約1万8,500トン。そのうち約8,400トン、45%が宮城県の気仙沼漁港に揚がっていると同記事は伝えています。

ヒレはフカヒレ、身ははんぺんなどのすり身、骨はサプリ、皮は財布やバッグ。港の関係者はサメを「捨てるところがない魚」と呼ぶそうです。

中華食材卸の「中華・高橋」は、身の色にちなんで「ピーチシャーク」と名づけたサメ肉を業務用に販売。おやつカンパニーは7月から、気仙沼産のモウカザメを使った「サメのスナック」を売っています。

電通とオーディオテクニカは、1982年発売のポータブルレコードプレーヤー「サウンドバーガー」を再現し、取っ手にヨシキリザメの皮を使った「シャークバーガー」を製造販売。今夏の製造分は完売したとされています。

『和漢三才図会』巻五十一コマ18の見開き。左ページ上に波間で身をくねらせるサメの絵、その下に見出し「鮫」。右ページはワニの項
『和漢三才図会』巻五十一の見開き。左ページ上に、斑点のある体をくねらせるサメの絵、その下に見出し「鮫」。右ページは鰐(わに)の項。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『和漢三才図会』巻五十一・寺島良安編・江戸時代刊・NDL PID:2596382 コマ18・著作権保護期間満了)

出典: 時事ドットコム「サメは『捨てるところがない魚』 ピーチシャーク、お菓子…皮はレコードプレーヤーに!?【大漁!水産部長の魚トピックス】」

5. オーストラリアが生鮮アユの輸入手続きへ 岐阜県は本格輸出に期待

岐阜県がめざす生鮮アユのオーストラリア輸出が、一歩進みそうです。

中日新聞によれば、オーストラリアは生鮮アユの輸入に向けた手続きを進めています。9月17日に岐阜県庁で行われた面談で、同国農業・水産業・林業省のビクトリア・アンダーソン事務次官が江崎禎英知事らに伝えたとされています。

同紙が伝える県の説明では、オーストラリアでは2024年3月に加熱処理したアユ加工品の輸入が解禁され、2025年に商業取引が実現しました。

一方、加熱していない生鮮アユは2024年10月に同国政府の調査を受けたものの、まだ輸入が認められていません。現地の日本食レストランを中心に、解禁が待たれているといいます。

『梅園魚品図正』に描かれたアユの彩色図。大小2尾
江戸後期の博物家・毛利梅園による写生図。大小2尾のアユが描かれている。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(NDL PID:1287112 コマ29・著作権保護期間満了)

出典: 中日新聞「オーストラリアに生鮮アユを 岐阜県庁で面談、輸出へ期待高まる」(2026年9月29日) / 岐阜県「オーストラリア農業・水産業・林業省事務次官が知事と面談します」

6. 23年育てたクロマグロ、全長253cm・214kgのはく製を公開 近畿大学で特別展

近畿大学は、東大阪キャンパスで特別展「近大マグロ」誕生ストーリーを開くと発表しました。会期は10月3日から29日までで、入場は無料です(土日祝は閉館、10月3日のみ開館)。

目玉は、23年間育てられたクロマグロのはく製です。全長253センチ、体重214キロ。同大学によれば、養成期間は世界最長で、世界初の採卵に成功し完全養殖の礎となった個体です。

近畿大学水産研究所は1970年に研究を始め、32年かけて2002年に世界初のクロマグロ完全養殖を達成しました。はく製の公開は、2025年の大阪・関西万博の出店以来になるといいます。

10月6日には水産研究所長の家戸敬太郎教授による記念講演も予定されています。

『梅園魚品図正』巻一のマグロの彩色図。紺色の背と銀白の腹の大きな魚。左上に「金鎗魚」「鮪」などの書き入れ
毛利梅園が描いたマグロ。左上の書き入れに「金鎗魚(ハツ・マクロ)」と「鮪 和名之比」が並ぶ。右下の書き入れは「小鮪」「王鮪」。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻一・毛利梅園・天保6年序・NDL PID:1287112 コマ32・著作権保護期間満了)

出典: 近畿大学プレスリリース(@Press)「近畿大学で特別展『「近大マグロ」誕生ストーリー』を開催 世界最長23年養成の253cm、214kgのはく製も特別展示」(2026年9月25日)

今週のまとめ

サンマは水揚げが前年の2割を切り、印旛沼では大雨で養殖ウナギが流されました。獲る漁業も育てる漁業も、海と空の変化をまともに受けています。

一方で、嫌われがちなサメを丸ごと使いきる工夫や、アユの新しい輸出先、23年がかりで育ったマグロの話もありました。

1833年に毛利梅園が描いたサンマの書き入れには、房州・常州から多くは塩をして遠くへ送られ、生のサンマを見る人は稀だった、という趣旨が記されています(NDL PID:1287112 コマ30)。

江戸で生のサンマが珍しかったのは、運ぶ手段がなかったから。いまは運べても、魚そのものが減っています。

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