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魚のことわざ・慣用句一覧48本

「サバを読む」や「腐っても鯛」のように、魚が出てくることわざ・言い回しの語源と由来を、江戸・明治の本の原本画像で調べた記事の一覧です。

使った本は国立国会図書館デジタルコレクションなどで無料公開されています。記事には書名とコマ番号を書いているので、同じページを開いて読めます。

ことわざ・慣用句

辞書の説明と江戸・明治の原本を突き合わせ、いつ、どんな形で使われていたかをたどっています。

  • 磯の鮑の片思い

    「磯の鮑の片思い」の意味と由来を原本でたどります。万葉集の「鰒貝の独り念い」、平安末『梁塵秘抄』の「荒磯の鮑の貝の片思ひ」、江戸のことわざ集を経て、辞書の初出1899年より古い1893年の本にこの形がありました。

  • 鰯の頭も信心から

    「鰯の頭も信心から」の語源と初出を原本でたどります。辞書が引く最古の例は1763年ですが、明暦2年(1656年)刊のことわざ集は「信仰から」、万治の『東海道名所記』は「信じから」。西鶴の「信心から」、節分の鰯の頭、明治の辞書まで年代順に。

  • 魚心あれば水心

    「魚心あれば水心」の語源と初出を原本でたどります。辞書が引く最古の例は1767年の浄瑠璃ですが、1712年の八文字屋本には「魚心あれば網心あり」、近松の浄瑠璃には「網心あれば魚心」の形で出てきます。明治大正の辞書まで年代順に。

  • 鰻の寝床

    「鰻の寝床」の意味と由来を原本でたどります。江戸の本には見つからず、最古は明治20年の井上円了「鎗持の雪隠又い鰻の寝床と云ひ」。江戸の人は細長い家を鎗持の雪隠と呼び、昭和5年には京都の先斗町が「二百年来の鰻の寝床」でした。

  • うなぎのぼり

    うなぎのぼりの語源は、ウナギが手から抜けて上へのぼるからとも、川をのぼるからとも言われます。原本をたどると、江戸初期の京都では「うなぎの瀬のぼり」が子どもの遊びの名で、辞書が川をさかのぼる説を書くのは1910年でした。

  • 海老で鯛を釣る

    「海老で鯛を釣る」の語源と初出を原本でたどります。辞書の初出は1834年ですが、1797年の『美満寿組入』に役者の名に掛けた「海老にて鯛を釣」。さらに『土佐日記』の飯粒、許六の鼻屎、近松の麦飯まで、鯛を釣る餌の移り変わりを年代順に。

  • 尾ひれがつく

    「尾ひれがつく」の意味は、話が伝わるうちに大げさになること。自分で足すのが「尾ひれをつける」。由来を原本でたどると、1701年の浮世草子に、もう噂に「尾ひれをつけて」。江戸の作者たちは、この言葉をある魚たちに掛けて遊んでいました。

  • 河岸を変える

    「河岸を変える」の意味と由来を原本でたどります。寛政10年の『辰巳婦言』に「此頃ハ河岸をかへて」。明治の『言海』は河岸を舟の着く川岸とし、大正の和英辞典は「a fish market」。牧水の飲み直し、釣りの歌まで。

  • 蟹は甲羅に似せて穴を掘る

    「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」の意味と由来を原本でたどります。明治の辞書は「皆己が分ほどなるをいふ」、出典は1645年『毛吹草』。1656年『世話尽』に「蟹ハ甲に似せて穴をほる」、松屋筆記は長篠合戦での信長の言葉として伝えました。

  • 亀の甲より年の功

    「亀の甲より年の功」の意味と由来を原本でたどります。1788年の絵本にはもう「世の諺」とあり、明治の辞書には「烏賊の甲より」「蟹の甲より」も。「功」は誤りで「劫」だ、と書いた辞書までありました。

  • 木に縁りて魚を求む

    「木に縁りて魚を求む」の意味と由来を原本でたどります。出典は『孟子』。ところが孟子は、木に登って魚を探すのは「魚が得られなくても後の災いはない」、王のやり方のほうがもっとひどい、と続けていました。

  • 金魚の糞

    「金魚の糞」の意味と由来を原本でたどります。天保12年の『滑稽和合人』では続編や長話を「長く引きずる」たとえ。明治44年に人が「金魚の糞の樣に繋がつて」、太宰治は「金魚が泳げば私もふらふらついて行く」。

  • 腐っても鯛

    「腐っても鯛」の語源と初出を原本でたどります。1645年の『毛吹草』に載った直後、1646年に俳人・安原貞室が「聞いたことがない」俗語として批判していました。元禄の諺集、其磧・三馬の用例、明治大正の辞書の説明まで年代順に並べます。

  • ぐれる

    ぐれるの語源はハマグリを逆さにした「ぐりはま」。1660年の俳諧に「蛤のぐりはま」があり、柳亭種彦が「訛ってぐれはま」と記し、辞書に不良の意味が載るのは1922年。原本画像でたどります。

  • 鯉口を切る

    「鯉口を切る」の意味と由来を原本でたどります。鯉口は刀の鞘の口。明治の『言海』は、その形を「橢圓ニシテ、鯉ノ口ヲ開キタルガ如シ」と説明します。全文検索でいちばん古い「鯉口を切る」は、明治17年の円朝『怪談牡丹燈籠』でした。

  • 鯉の滝登り

    「鯉の滝登り」の由来を原本でたどります。明治の辞書は見出しに「龍門の瀧」と書きますが、出典の『三秦記』は黄河の急流「河津」の話で、登れない魚はえらを曝す、と結びます。江戸の本草書は「禹門」、1779年の黄表紙は「鯉の瀧登」。

  • ごまめの歯ぎしり

    「ごまめの歯ぎしり」の意味と由来を原本でたどります。江戸の川柳に「面あてに塩引」と詠まれた小魚は干したカタクチイワシ。本朝食鑑は干鰯が田の肥やしだから「田作」と書き、華実年浪草は武家・農家・商家で祝い名が違うと記しました。

  • 雑魚寝

    雑魚寝とは、大勢が入り交じって寝ること。その由来を原本でたどると、江戸の本では節分の夜に大原の氏神にこもる「大原の雑魚寝」。1682年の西鶴『好色一代男』に章があり、明治の辞書は雑魚のようにと説明します。

  • 鯖の生き腐れ

    「鯖の生き腐れ」の意味と由来を原本でたどります。1820年、柳亭種彦は「世の常言」と書き、鯖を運ぶ早船を「生鯖船」と呼ぶと紹介。大正の化学の本は、細菌のしわざではないので悪臭が出ない、と説明していました。

  • サバを読む

    「サバを読む」の語源は魚屋が数を急いで読んだから、と言われます。でも最古の用例は1687年の西鶴『男色大鑑』で、すでに年をごまかす意味。魚屋説が辞書に載るのは1927年です。原本画像でたどります。

  • 鯛の尾より鰯の頭

    「鯛の尾より鰯の頭」の意味と由来を原本でたどります。元は『戦国策』の鶏口牛後ですが、1645年の『毛吹草』にあった形は逆の「鰯の頭をせんより鯛の尾につけ」。明治の辞書は正反対の二つを「反対」「同じ」と注記して並べていました。

  • たらふく

    「たらふく」の語源と「鱈腹」の由来を原本でたどります。辞書は当て字と言い、江戸の本に「鱈腹」は0冊。1732年の小歌「たらふくつるてん」、一九の「たら福」、「たらふく孫左衛門」を経て、鱈の字が入ったのは1889年でした。

  • 逃した魚は大きい

    「逃した魚は大きい」の意味と由来を原本でたどります。江戸の本には見つからず、最古は明治26年の「釣落した魚は大きし」。明治の辞書は「死んだ子の容貌美し」と並べて未練の言葉と説明し、昭和の柳田国男は「無用の自慢だ」と書きました。

  • にべもない

    「にべもない」の語源と初出を原本でたどります。にべは魚ニベの浮き袋から作る膠(にかわ)で、江戸の本草書は「弓工これを用ゆ」と書きます。辞書の初出は1720年の近松ですが、1698年の『続猿蓑』にもう「にべもなくつい立つ蟬」の句がありました。

  • 猫に鰹節

    「猫に鰹節」の語源と初出を原本でたどります。『甲陽軍鑑』は武田の軍議で「下劣のたとへに猫に鰹のふしをあつけたる」。近松は「猫に乾鮭」、式亭三馬は「油断大敵」、国学者は『後漢書』の狼を引きました。古い形は「預ける」つきです。

  • 瓢箪で鯰を押さえる

    「瓢箪で鯰を押さえる」の意味と由来を原本でたどります。明治の辞書は「要領を得ざること」。江戸の考証随筆は禅僧・如拙の「瓢鮎図」に由来を求め、1695年の解説書は仏書の語から出たと書きました。1656年のことわざ集では鯰ではなく「鰻」でした。

  • 河豚は食いたし命は惜しし

    「河豚は食いたし命は惜しし」の意味と由来を原本でたどります。明治の辞書は「情と理性との闘」。1811年の三馬『客者評判記』に「河豚は食たし命は惜し」、芭蕉は「あら何ともなや昨日は過ぬ河豚汁」。フグ汁は「雷汁」とも呼ばれました。

  • まな板の鯉

    「まな板の鯉」の語源を原本でたどります。元は『史記』の「刀俎と魚肉」で、江戸の本も明治の辞書も「まな板の魚」。鯉になった理由は上方歌舞伎の台本にあり、まな板に載ると観念して動かない鯉を「覚悟のよい魚」と呼んでいました。

  • 水を得た魚

    「水を得た魚」の意味と由来を原本でたどります。元は劉備の「孔明がいるのは魚に水があるようなもの」で、なくてはならない関係のたとえ。明治にフレーベルの「魚の水を得たるが如し」、今の語順は大正7年の有島武郎が最古でした。

  • 目から鱗

    「目から鱗」の意味と由来を原本でたどります。もとは新約聖書・使徒行伝の一節で、明治の聖書は「眼より鱗の如きもの」。明治40年には「吾々の眼の鱗」、明治43年の二宮尊徳の伝記には「目から鱗が落ちたよう」と、たとえとして出てきます。

  • 柳の下の泥鰌

    「柳の下の泥鰌」の意味と由来を原本でたどります。明治の辞書は「一度よき事ありしとて、常に同様の幸はなし」。江戸のことわざ集に項はなく、全文検索で古典籍0冊。明治24年の『国民の品位』の見出しから急に増え、富山では「柳の下の大鯰」でした。

日常の言葉になった魚

ふだん魚の話だと意識せずに使っている言葉の、元の魚を原本で確かめています。

  • 阿漕(あこぎ)

    「阿漕(あこぎ)」の語源と意味を原本で確かめます。謡曲『阿漕』は神に供える網の浦で網を引いた漁師の話。寛政9年の『伊勢参宮名所図会』は、もとの歌は「あこぎの島にひく鯛の」だと書いていました。

  • イカサマ

    「イカサマ」の語源を原本でたどります。イカ墨で書いた証文は消える、という話は中国の古書にあり、江戸の学者も書き写していました。けれど江戸の「いかさま」は「なるほど」の意味。明治の辞書は、なるほどと思わせる偽物、と説明していました。

  • いなせ(鯔背)

    「いなせ」の意味と語源を原本でたどります。漢字で「鯔背」、ボラの若魚イナの背。ところが幕末の『守貞謾稿』は「起原不詳」と書き、明治の辞書は「いなの頭」、大正の本は「鯔の背」と、説明が揺れていました。

  • いわし雲(鰯雲)

    鰯雲(いわし雲)の意味と由来を原本でたどります。天明3年の狂歌に「鰯くも」、江戸の季語の本は「鰯が寄る時の雲」、明治の露伴は「鰯などの群るゝ如く」。昭和の気象の本では巻積雲、鯖雲・うろこ雲とも。

  • 魚の目(うおのめ)

    「魚の目(うおのめ)」の由来を原本でたどります。明治の『言海』は「魚目〔形似タレバイフ〕」。元禄6年(1693年)の『救民妙薬』はすでに「魚目」に「うをのめ」と振り仮名、白米一粒のおまじないも。

  • 江戸前

    「江戸前」の由来を江戸の魚譜でたどります。『梅園魚品図正』のウナギの図の脇に「両国川及神田川筋ニテ釣ル者ヲ江戸前ト云」とあり、ウナギの釣れた場所を言う呼び名でした。万葉集の古名ムナキから学名まで原本画像で。

  • かまとと

    「かまとと」の語源は「蒲鉾はとと(魚)か」と聞いたこととされます。明治40年の辞書で「蒲鉾」と「とと」を確かめ、「カマトト・ベビー」「かまとゝ族」など昭和30年前後の例を原本でたどります。

  • からすみ(唐墨)

    からすみの名前の由来を原本でたどります。明治の『言海』は「唐墨ノ義、形似タリ」。江戸の『和漢三才図会』は「形似墨而大」、『本朝食鑑』は「號唐墨」。サワラの子は「鰆墨」。

  • 肴(さかな)

    「肴」の語源を原本でたどります。平安の辞書は「和名佐加奈」、貞丈雑記は「酒菜也」、物類称呼は「酒魚なり」。魚を「さかな」と呼ぶ言い方を、言海は載せ、明治37年の教師むけの本は「誤り」としました。

  • 鯖折り(さばおり)

    鯖折り(さばおり)とは、相撲で相手の廻しを引きつけ、覆いかぶさって腰をくじく手。明治の相撲の本は見出しを「腰折キ」「挫き」とし、鯖折りは「俗に」「相撲社會の人々は」と断る呼び名でした。鯖の由来を書いた本は見つかりません。

  • 出世魚

    出世魚の一覧と順番を江戸の原本で確かめます。ブリはツバス・メジロ・ハマチ、ボラは江鮒・イナ、スズキはセイゴ。1808年の本は鰤を「出世魚と称して」歳暮に使うと書き、明治には鯉も出世魚でした。

  • すし詰め

    「すし詰め」の語源と意味を原本でたどります。明治31年の東京案内記に上野公園が「人の鮨を詰めし如く」、明治37年には「一同すし詰となりて」。釣り船、東京の電車、漱石の日記、英語の「like sardines」まで。

  • タコ配当

    「タコ配当」の意味と由来を原本でたどります。利益がないのに資本を削って配当すること。明治43年の本はもう「所謂蛸配当」と書き、由来の「蛸は食に困ると自分の脚を食う」を、はじめから「俚説」、言い伝えだと断っていました。

  • とどのつまり

    「とどのつまり」の語源はボラです。天保二年の『魚鑑』はボラの成長名を並べ「十歳以上をとゞといふ」と書きます。おぼこ・いな・ぼら——名前が多い理由を原本画像で読みます。

  • のし(熨斗)

    のし袋の「のし」の由来はアワビです。薄く剥いて打ち延ばしたものが元でした。『日本山海名産図会』は作り方を図入りで載せ「俗に熨斗の字とかくは誤なり」と書いています。

  • 左ヒラメ右カレイ

    ヒラメとカレイの違いは「左ヒラメ右カレイ」。この左右への注目は安永四年の『物類称呼』が漁師の話として書き留めています。ただし江戸の魚市では大きければヒラメでした。

  • 目黒のさんま

    目黒のさんまの殿様は誰か。本によって違い、明治26年の修身教科書では名無しの「ある大名」でした。「さんまは目黒に限る」の由来を落語の速記より前までたどり、原本画像で確かめます。