水産ニュース 2026年10月1日〜8日|秋サケ、過去最低の半分
この記事の目次
2026年10月1日から8日までの水産ニュースを、6本にしぼってまとめました。
すべての項目に出典リンクをつけています。ニュースになった魚が江戸時代にどう描かれていたかも、図譜から並べてみます。
1. 北海道の秋サケ、過去最低だった前年からさらに半減 筋子の卸値は2倍
北海道の秋サケが、深刻な不漁です。
日本経済新聞によれば、10月5日までの漁獲量は約4,500トン。過去最低だった2025年から、さらに半減して推移していると報じられています。
同紙によると、北海道は6日、9月末までの秋サケ漁獲量が前年同期比34%減の約210万匹だったと発表しました。主力のオホーツク海沿岸が36%減、日本海側は7割減です。
漁獲額は1割減の約100億円。札幌市中央卸売市場でも入荷が少なく、サケの卵である筋子の卸値は前年の2倍に上がっていると伝えられています。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』2帖・NDL PID:1287113 コマ35・著作権保護期間満了)
出典: 日本経済新聞「北海道の秋サケ『恐ろしいほど不漁』 漁獲量が過去最低、筋子2倍高」
2. スルメイカの漁獲枠、漁期の途中で見直せる仕組みへ 2027年度から
スルメイカの漁獲枠の決め方が、来季から変わりそうです。
東奥日報によれば、水産庁は2027管理年度(2027年4月〜2028年3月)から、漁期の途中でも漁獲可能量(TAC)を変更できる管理手法を導入する方針です。
漁期中に集めたデータから資源量を推定し、それをもとに見直しを検討します。時期は9月と11月ごろを想定していると報じられています。北海道新聞は、増枠も可能になると伝えています。
水産庁は10月8日、漁業関係者らによる検討会でこの考え方を示しました。時事通信によれば、スルメイカは寿命が1年と短く、資源の予測が特に難しいことが背景にあります。
ただ、会合では「精度の高い予測が難しい中、将来予測に基づく漁獲枠設定は現実的ではない」という意見が相次いだといいます。
同通信によると、今季は予測に基づかない方式が今季に限って採用され、漁獲枠は昨季の当初枠の約3.6倍に広がっています。多くの漁業者が、この方式の維持を求めたと報じられています。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻1・毛利梅園・NDL PID:1287112 コマ17・著作権保護期間満了)
出典: 東奥日報「スルメイカ枠、途中変更可 2027年度以降年2回/水産庁方針」 / 北海道新聞(47NEWS)「スルメイカ漁獲枠、漁期途中で見直しへ 水産庁方針、27年から 増枠も可能」 / 時事通信(dメニューニュース)「スルメイカ漁獲枠の来季方針協議=資源予測方式には反発も―水産庁」(2026年10月8日)
3. 「サバショック」 ノルウェー産の輸入価格は1年半あまりで2倍以上
サバの値上がりが、「サバショック」と呼ばれています。
MBC南日本放送が、鹿児島県内の様子を伝えました。値上がりしているのは、日本のサバ消費量の半分を占めるとされるノルウェー産です。
同局によれば、ノルウェー産冷凍サバの1キロあたりの輸入価格は、2025年1月に400円台でした。それが2026年8月には900円を超え、2倍以上になっています。背景として、資源保護のための漁獲枠削減が挙げられています。
鹿児島市の水産加工会社の直売店では、3年前におよそ1,000円だった切り身のパックが1,580円に。店は比較的安い国産に切り替えていますが、国産にも値上げが及んでいるといいます。
市内の総菜店では、ノルウェー産切り身の仕入れ値がおよそ1年で1.5倍になりました。オーナーは、弁当にサバを入れる回数は減ったが、サバのみそ煮だけは残したいと話したと報じられています。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻一・毛利梅園・天保6年序・NDL PID:1287112 コマ31・著作権保護期間満了)
出典: MBC南日本放送「『サバが買えない』サバショックとは?切り身が1.5倍値上がり…なぜ?加工業者・弁当店は困惑 鹿児島」(2026年10月7日)
4. ウナギ5万匹が流された印旛沼の漁協レストラン、浜名湖産で営業再開
前号で取り上げた、千葉県・印旛沼の養鰻場の続報です。
読売新聞によれば、台風25号の大雨で養殖ウナギ約5万匹が流された印旛沼漁業協同組合の直営レストラン「水産センター」(成田市)が、10月2日に営業を再開しました。
隣の養鰻場はいけすが冠水し、ウナギがすべて流されました。来年1月に稚魚を仕入れて育て始めるため、自前のウナギを出せるのは早くても2028年になると報じられています。
再開にあたっては、付き合いのある静岡・浜名湖の養鰻場から、約200食分にあたる40キロを仕入れました。
小川佳男組合長(89)は「当面は他県のウナギを使うことをご理解いただきたい」と話しています。休業中は激励の電話が多く寄せられたといいます。
出典: 読売新聞オンライン(Yahoo!ニュース)「台風25号で養殖ウナギ5万匹が流される、千葉・印旛沼漁協の直営レストランが営業再開…静岡・浜名湖産仕入れる」
5. 佐世保でマイワシ豊漁 水揚げは5,000トン超、冷凍施設が追いつかず
減る魚ばかりではありません。長崎県佐世保市の周辺では、マイワシの水揚げが好調です。
長崎新聞によれば、佐世保魚市場のマイワシの水揚げ量は2000年代に数百トン台でした。2010年代に1,000トンを上回り、2025年度は5,000トンを超えています。
同紙は市水産センターの説明として、マイワシは海洋環境の変動にともない約40年周期で豊漁が訪れるとされる、と伝えています。
課題は、とれた魚を保管する冷凍施設です。同紙によると、1日あたりの凍結能力は長崎市内が1,230トン、松浦市内が2,571トンなのに対し、佐世保市内は423トンにとどまります。
市の水産加工団地には新しい冷凍冷蔵施設が2028年冬に完成する予定ですが、佐世保魚市場の社長は「市内全体ではまだ足りない」と話していると報じられています。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻一・NDL PID:1287112 コマ11・著作権保護期間満了)
出典: 長崎新聞(Yahoo!ニュース)「佐世保市でマイワシ豊漁 冷凍施設の機能強化を求める声…潜在的な漁獲量に対応できず」(2026年10月8日)
6. 外房のキンメダイ漁が解禁 3カ月の自主禁漁が明ける
千葉県の外房沖で、キンメダイ漁が10月2日に解禁されました。
朝日新聞によれば、資源管理のために漁業者が自主的に設けた3カ月の禁漁期間が明けたものです。台風によるしけで、解禁は1日遅れました。
水揚げがもっとも多い勝浦市の松部漁港では、決められた4時間の漁を終えた船が、午前9時ごろから水揚げを始めました。
魚は重さで5段階に分けられ、700グラム以上が「外房つりきんめ鯛」のブランドを名乗ります。
同港の初日の水揚げは1,045キロと少なめでした。関係者は、安定するのは例年11月半ば以降だと話していると報じられています。
出典: 朝日新聞「キンメダイ漁が解禁、千葉・勝浦の松部漁港で水揚げ 外房の港に活気」
今回のまとめ
北海道の秋サケは過去最低をさらに下回り、輸入に頼ってきたサバも値上がりが続いています。
一方で佐世保ではマイワシが増え、冷凍施設のほうが足りなくなっています。外房のキンメダイ漁は、漁の時間を4時間に区切り、3カ月休んでから再開されました。
スルメイカの漁獲枠をめぐる議論も、読みにくい資源にどう合わせて獲るかという話です。増える魚と減る魚の両方に、獲る側の仕組みが追いつこうとしています。
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