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水産ニュース 2026年10月9日〜12日|ミナミマグロ枠13.7%増

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この記事の目次

2026年10月9日から12日までの水産ニュースを、6本にしぼってまとめました。

すべての項目に出典リンクをつけています。ニュースになった魚が江戸時代にどう描かれていたかも、図譜から並べてみます。

1. ミナミマグロの漁獲枠、日本は13.7%増の8,297トンに 2027〜29年

ミナミマグロの漁獲枠が、3年ぶんまとめて増えることになりました。

共同通信によれば、国際的な資源管理機関「みなみまぐろ保存委員会」は10月9日の年次会合で、日本に割り当てる2027〜29年の年間漁獲枠を8,297トンと決めました。現行から13.7%の増加です。

全体の総漁獲枠は3,000トン増えて2万3,647トン。このうち日本とオーストラリアがともに8,297トン、韓国と台湾はいずれも202トン増の1,670トンと報じられています。

同通信によると、科学委員会で近年の資源回復が評価され、日本を含む全8カ国・地域で増枠が決まりました。

ミナミマグロは南半球の高緯度海域を中心に分布し、クロマグロに次ぐ高級品として刺し身などで人気がある、と同通信は伝えています。

『梅園魚品図正』巻一のマグロの彩色図。紺色の背と銀白の腹の大きな魚。左上に「金鎗魚」「鮪」などの書き入れ
毛利梅園が描いたマグロ。左上の書き入れに「金鎗魚(ハツ・マクロ)」と「鮪 和名之比」が並ぶ。右下の書き入れは「小鮪」「王鮪」。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻一・毛利梅園・天保6年序・NDL PID:1287112 コマ32・著作権保護期間満了)

出典: 共同通信(dメニューニュース)「ミナミマグロの漁獲13%増枠 27〜29年の日本割り当て」

2. 福島県の沿岸漁業、2025年の生産額は44億円 震災前の47%

福島県の沿岸漁業は、まだ震災前の半分に届いていません。

福島民友によれば、県沿岸漁業の2025年の生産額は44億円でした。前年より8億円増えましたが、東日本大震災前の2010年(92億円)と比べると47%にとどまります。

県が10月8日、福島市で開かれた県水産業振興審議会で示した数字です。県の計画が掲げた2025年の目標は45億円で、これを下回りました。

同紙によると、県は2030年に生産額100億円を目標にしています。水産関係施設の整備、資源管理の高度化、操業海域の拡大などの支援策を引き続き強めるとしています。

出典: 福島民友新聞 みんゆうNET(dメニューニュース)「福島県沿岸漁業、25年生産額44億円 震災前の47%にとどまる」

3. 秋田のハタハタ、昨季の沿岸の水揚げは0.1トン 漁期を前に揺れる浜

秋田の冬の魚、ハタハタの漁期が近づいています。

秋田魁新報によれば、12月に本格的な漁期を迎える沿岸ハタハタ漁は、昨季の水揚げ量が0.1トンでした。前年の5%にあたる、極端な落ち込みです。

同紙によると、4月の資源対策協議会では禁漁を求める意見も上がりました。

それでも漁期を間近に控え、「今年も漁に出たい」と話す漁師は少なくないと報じられています。

『梅園魚譜』の見開き。右ページに細長い褐色のハタハタ、腹は銀白色。右上に見出し「雷魚」
毛利梅園が写生したハタハタ。右上の見出しは「雷魚」。魚の左下に「丁酉二月九日 大舘仁山子送之真寫」、人から送られた実物を写した、とある。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚譜』・毛利梅園撰輯・NDL PID:1286914 コマ25・著作権保護期間満了)

出典: 秋田魁新報「ハタハタ漁師ら『今年も漁に出たい』 禁漁に前向きな声も」(2026年10月10日)

4. 稚魚のうちに5日間だけ海水へ 富山県のシロザケ実験で成長と生存率が向上

サケを陸上で育てる研究で、手がかりになりそうな結果が出ました。

中日新聞によれば、富山県水産研究所(滑川市)は2025年度から5カ年計画でシロザケの成育実験を進めています。

この実験で、稚魚のときに5日間だけ海水で過ごした群は、淡水だけで育った群より早く成長し、丈夫で死ににくくなることが分かったと報じられています。

短い期間なら、いまある淡水の施設でも海水飼育を採り入れられます。同紙は、設備投資のいらない陸上養殖の実現へ一歩進んだ形だと伝えています。

背景にあるのは、川に帰るサケの減り方です。同紙によると、富山県全体のサケ来遊尾数は2009年度の15万5千匹余りがピークで、その後もおおむね5万匹以上で推移していましたが、近年は激減しています。

江戸時代の彩色図譜に描かれたサケ
毛利梅園が写生したサケ。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(『梅園魚品図正』巻二・毛利梅園・NDL PID:1287113 コマ35・著作権保護期間満了)

出典: 中日新聞「5日間の海水生活がシロザケを強く 富山県水産研が陸上養殖実験、成長速度・生存率アップ」(2026年10月9日)

5. 沖縄の県魚グルクン、稚魚まで育てることに世界で初めて成功 美ら海水族館

沖縄で「グルクン」の名で親しまれている魚、タカサゴの話題です。

沖縄美ら海水族館は、タカサゴの仔稚魚(しちぎょ)の長期飼育に世界で初めて成功したと発表しました。育てた稚魚の展示も始めています。

同館によれば、タカサゴ類の卵は直径約0.8ミリ。ふ化した仔稚魚もとても小さく、長く飼い続けることが難しかったといいます。今回は、最初に与える餌の改良など、飼育方法を見直しました。

展示しているのは、2026年6月にバックヤードの水槽で採った卵からふ化した個体です。ふ化直後は全長約3.1ミリでしたが、約3カ月で約50.5ミリになりました。

体には成魚と同じ縦模様や、尾びれの黒い斑が出ているとのことです。

出典: 沖縄美ら海水族館「世界初!沖縄県の県魚『グルクン(タカサゴ)』仔稚魚の長期飼育に成功!!」

6. 愛称「イクオネ」は、世界で6種目のクリオネだった

最後は魚ではなく、「流氷の天使」クリオネの話です。

朝日新聞によれば、世界で6種目となるクリオネの新種を、日本の研究チームが論文に報告しました。

ダイバーの間で「イクオネ」と呼ばれてきた種類です。水中写真家の中村征夫(いくお)さん(81)の名にちなむ愛称で、和名も「イクオハダカカメガイ」といいます。

同紙によると、中村さんが初めて出会ったのは1990年代、北海道・知床半島の海でした。

これまでは、クリオネ類とは別のグループとされていました。クリオネ類は餌を捕まえるときに出す触手「バッカルコーン」が6本あるのに、イクオネは4本とされていたためです。

ところが、東洋食品研究所(兵庫県川西市)と北海道立オホーツク流氷科学センターの研究チームが体の構造を詳しく調べると、イクオネにも触手が6本ありました。遺伝子の解析でも、クリオネ類の一員とすべきだという結果が出たと報じられています。

出典: 朝日新聞(Yahoo!ニュース)「中村征夫さんの『イクオネ』、世界で6番目の新種クリオネに」

今回のまとめ

ミナミマグロは資源の回復が認められ、関係する8カ国・地域すべてで枠が増えました。

一方で秋田のハタハタは、禁漁を求める意見が出るところまで減っています。福島の沿岸漁業は、額で見てまだ震災前の半分に届きません。

富山のシロザケと沖縄のグルクンは、どちらも「育てる」側の一歩でした。どちらも、稚魚の時期の育て方を見直した結果です。

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